water song(みずうた)

04-04.覆われた空と失楽園

空は、ぼやけて見えた。

涙を零さないように溜めた瞳で、見上げた時に似ていた。

日中の、砂漠よりマシとはいえ強いハズの日差しは、見る影もない。

強い日差しを懐かしむように、私は額にヒサシを作り、空をみあげる。

(広大な泉や噴水の中から見たら、こんな風に見えるんだろうな…)

太陽のあるはずの方向を見る。

ボンヤリした光の輪郭が見えた。

「ああ…」

それしか、言えなかった。

見上げた空が、更にぼやけ、涙が頬を伝う。

見えない、鮮やかな空の青。

乱反射する、光。

覆う水に、目を反らしたくなる。

それでも、私は上を見続ける。

(意味が、理由(ワケ)が知りたい)

何故、こんな事になった?

幕を、取り払うのは可能か?

歌を、歌ったのは正しかった?

(この事で、何か悪い事が起こり始めたら…)

不安が、疑問が、尽きる事無く湧き上がる。

そして。

自分が、怖くて堪らない。

自分を、信じる事が出来ない。

(だけど…)

逃げられない、逃げたくない。

誰か、私に…“力”は要らないから。

正しい決断をする、勇気を下さい。

私は涙を拭い、手を祈るように組み合わせた。
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