water song(みずうた)
問題が解決しないまま街を出ようとしているのは、この街の人々には悪いと思う。

が、街長に捕まったままで、事態が良い方向に進むとは思えない。

一旦、どこか別の場所に拠点を移し、どこの街にもある(と聞いた)中央広場(いつからあって、誰が何のために作ったか…とか)をじっくり調べたい。

街長に追われた状態で、それをするのは難しそうに思う。

そして、やっぱり何だかんだ理由は付けたが、早くガルンを探しに行きたいのだ。

(でも、良く考えたらこのままだとお尋ね者…?)

「兄貴の影響力は、この街から出れば大したこと無いだろ」

考えを読んだように、ミゲルが言う。

「そうね、それに砂漠の中を渡る人はあまり居ないから、結構街同士は独立している…と聞いた事が有るわ。」

まだ、旅はした事ないから、聞いただけの話だけど。

セリが付け加える。

「あ、あの…二人とも、一緒に…?」

「当然よ、リールさんを一人にはしないわ!」

「そもそも、ミゲルさんは手引きした時点で、…ねぇ。まっ、元から、いつか街の外に行こうとは思ってたけど。」

リールちゃんのせいじゃないよ、とミゲルに言われたが、私はどんどんいたたまれなくなってきた。
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