water song(みずうた)
「似合ってたのに、勿体無いわね…」

部屋に案内してくれた女性…シアさんは、私にそんな事を言った。

「動きにくかった」

「でも、本当に素敵でしたよ、リールさん。最初見た時、違う人かと思いました。また今度、着てみせてくださいね」

私は無言で顔をしかめた。

「セリの方が似合う」

「あらあら…うふふ。リールちゃん達、仲良しさんねぇ。」

二人とも可愛いわぁ。

シアさんの言葉に毒気をぬかれ、どちらが可愛いかは保留となる。

(絶対、セリのが可愛い。シアさんも綺麗だし…)

ふわりと優しげに笑うシアさんは、何というか、ソウイウ職からくるスレた感じを微塵も感じさせなかった。

「ふわ〜ぁ」

すごく眠そうではあったけれど。

「寝てたのに、ごめん」

「あー大丈夫、大丈夫。こっちこそ、おっきい欠伸しちゃって、ごめんね」

その言葉に首を振る。そもそも、迷惑をかけているのはこっちなのだし。

シアさんに借りた、代わりの服は、シアさんが着れなくなった…というものだった。

つまり、シアさんの昔着ていた服。

使ってないから…と、タダで貰えた。

(でも…何かお礼したいな…)
それと…。

(旅の費用、どうしよう)
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