water song(みずうた)

05-02.旅の途中と砂の獣

水の幕を越えた時に濡れた体は、砂漠の熱気にあっという間に乾いた。

夕方近くに出発したとは言え、砂漠は容赦なく、水分を奪う。

喉が渇くのを防ぐため、一行は言葉少なに進む。

色々疑問が有ったりするのだけど。

(セリとミゲルの関係…とか)

街長の弟と、街民にしては、二人の態度は気安過ぎる。

(というか、セリのが偉そうだし)

今どうしても聞かなければ無いような話ではないけど、やっぱり気になる。

(休憩の時にでも聞こうかな…)

ぼんやり考えていたら。

「こっちの方向、で合ってるのかな?ミゲルさん、とっても不安、なんだけど…」

ポツリと、ミゲルが言い出した。

セリも心配そうに、一番前を自信満々に歩いているゼルドさんを見る。

特に当てとか、砂漠の目印なんて知らない私は、先導者に付いて行く事に疑問を持って居なかった。

急に不安になり、ゼルドさんの手元を見た。

ゼルドさんの手の上には、手のひらサイズの銀色の皿と、ソレに乗った小さな琥珀色の球体がコロコロと転がっている。

球体が動いているのを改めて見たら。

…とてつもない間違いを犯してしまった様な気になってきた。
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