water song(みずうた)
ユルく転がっていた先程とは打って変わり、琥珀の球体が、皿の中を高速で回りだした。

「壊れた?」

「リールさん、失礼ね。ボクの発明品は、半永久的に壊れないのがウリよ」

(それって、不良品だった時、廃棄に苦労しそう…。)

って、それは今どうでも良くて。

「コレは、警報機能ね。キケンが迫ると起動するね。」

「キケン?」

聞き返した瞬間、私は右側に引きずり倒された。

「つまりはこういうキケンな生物が襲いかかってきたり…とかって事ですね」

セリの声が近距離でして、私は今更ながらに、セリに引きずり倒された事に気づく。

そして、私が立っていた辺りには、砂漠の砂と同じ色をした四つ足の獣(猫を巨大にした感じ)が立っていた。

更に、その獣と油断無く対峙しているミゲルが見えた。

いつの間にか、その両手には、短剣と言うには長く、長剣と言うには短い剣が握られていた。

剣の幅は、比較的細身に見える。

「あ…リールさん、ごめんなさい」

セリの突然の謝罪。

ワケがわからず、私はセリに視線を移した。

「…?」

「左腕…怪我…」

言われて気付く。

左腕に、ヒリつくような痛み。
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