water song(みずうた)
……あ、あれ?

私は周囲を見回した。

最近慣れた、セリの気配も、ゼルドさんも、ミゲルも居ない。

というか、そもそも、一瞬前に立っていたのは、木の根元…だったはず。

ジュモクに入った私達は、一先ず宿を取り、荷物を置いて、街の見学にでた。

そして、街の中心、大木の根元に着き、至近距離で見るそれに圧倒されて、木に触れて瞬きするため、目を瞑った…。


そして、再び目を開けると、唐突に景色が一変していた。

今見えるのは…。

目の前には泉。

上は…土の付いていない木の根もしくは、葉っぱがついていない枝でドーム状態。

隙間から、光が洩れていて、まわりは多少薄暗いけど、視界はそこそこクリア。

パシャリ。

ぼんやりと、無意識の内に、泉に手をひたす。

ひんやりした水が、気持ち良い。


『ようこそ、いらっしゃいました、カインの血筋よ』

突然かけられた声に、辺りを伺う。
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