water song(みずうた)
声は、泉からしたように感じられた。

水の中から…いや、泉そのもの?

私は、びっくりして立ち上がり、泉から距離を取る。

…と、泉の中心辺りが泡立ち始めた。

次第に、泡立ちが激しくなり、ザバザバと何か出てくる。
どうやら、ヒト…のようなカタチをしている。

水の上に立ち上がったその姿は、普通の人と違って、全身が青い。

泉から出てきた青い人は、私へと近づいてきた。

びっくりしている私を、無遠慮にじろじろ見回し、青い人は言った。

『おや、月のモノが居ないのですね?』

月のモノ?

居ない…と言う事は、現象を示しているわけでは無さそう…とそこまで考えて、気付く。

もしかして、ムーンラックの事だろうか?

「あ…が、ガルン?」

紡いだ言葉に、眉をピクリと動かす、青い人。

『名前が出る…と言うことは、出会ってはいるのですね。』

「貴方が言うのが、ムーンラックの事ならば…。」

自信無く発言する。
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