water song(みずうた)
それでも渋っていると、痺れを切らしたガルンに無理やり腕を引かれ、抱きしめられた。

「散々肩に座ってくっついていたのに、おかしなヤツだな、お前。」

冷え切った体に、ガルンの温度が優しく伝わり、強張っていた気持ちを溶かした。

銀の毛並みは柔らかくフカフカで、今は沈んでいる太陽の匂いがした。

私はそのまま、暖かさと共にやって来た睡魔へと身を任せた。

++++++++++

耳にかかる息がくすぐったくて、目がさめた。

ぼやけた視界に映った、人間の顔のドアップに目を見開く。

はっきり結ばれた映像に、更に驚く。

朝の柔らかな光に揺れる睫も、バラ色の少しだけ丸みを帯びた柔らかそうな頬も、秀逸な鼻梁も、果実のような唇も、サラサラで黒がかった銀の不思議な色の髪の毛も、私の心臓にイチイチ衝撃を与える。

(肌に毛穴が見えないってどういうこと!?)

こ、ここは何処だ?
き、昨日は何をしていたっけ?
もしかして、私は寝ている間に天に召されたか?

私が何者か?という課題は、昨日の内に解かなければ死んでしまう…とか、そういった厳しいものであったのだろうか…。
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