water song(みずうた)
◇逢縁機縁(アイエンキエン)
最初は、盗賊に対する意趣返しのつもりで、アイツに対する特別な感情は、全く無かったと思う。
ただ、どこか、まっさらなヤツだな…という印象は受けた。
++++++++++
命石を持っていなかったのに気が付いたのは、盗賊達の馬車が見えなくなってからだった。
思わず舌打ちすると、キョトンとした顔で此方を見る瞳と視線がぶつかる。
一瞬、その瞳が青く光って見え、驚き見直す。
瞳は揺らぎ、茶色へと変化した。
…なんだ、コイツ。
その女は、一見何処にでもいるような旅人の姿をしていたが、俺の嗅覚は確かな違和感を捕らえはじめていた。
存在が、妙に揺らいでいる。
まるで水に浮かぶ、月のようだ。
急に、目の前の女に興味が湧いてきた。
女は、首を傾げ、どうかしたのか?と俺に問いかけた。
「喉が乾いたなと思ったんだが、命石を無くしていたのをすっかり忘れていた。」
女は一つ頷くと、自分の手首からブレスレットを外した。
命石だ。助かった。
俺は荷物から金属製の杯を取り出し、女に渡した。
ただ、どこか、まっさらなヤツだな…という印象は受けた。
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命石を持っていなかったのに気が付いたのは、盗賊達の馬車が見えなくなってからだった。
思わず舌打ちすると、キョトンとした顔で此方を見る瞳と視線がぶつかる。
一瞬、その瞳が青く光って見え、驚き見直す。
瞳は揺らぎ、茶色へと変化した。
…なんだ、コイツ。
その女は、一見何処にでもいるような旅人の姿をしていたが、俺の嗅覚は確かな違和感を捕らえはじめていた。
存在が、妙に揺らいでいる。
まるで水に浮かぶ、月のようだ。
急に、目の前の女に興味が湧いてきた。
女は、首を傾げ、どうかしたのか?と俺に問いかけた。
「喉が乾いたなと思ったんだが、命石を無くしていたのをすっかり忘れていた。」
女は一つ頷くと、自分の手首からブレスレットを外した。
命石だ。助かった。
俺は荷物から金属製の杯を取り出し、女に渡した。