water song(みずうた)
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あまりにも喉が渇いていたため、水を夢中で飲み、20回も女に水を注がせていた。
流石に悪いと思い、桶でも有れば良かったな、と言うと代償にしては安いと何でもない事のように答えられた。
何故かそれが嬉しくて、ちょうど良い所にあった女の頭に手を伸ばし、わしゃわしゃ撫でる。
女は嫌がる素振りもせずに、大人しく撫でられていた。
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他愛ないやり取りの後、名前が判らないのも不便だと思い、名前を聞くと困った顔をされた。
記憶がないと答えた女の顔は、まさに泣き出す前の子供の顔のようで、放っておけない、とガラにも無く感じた。
厄介事には首を突っ込まず、事なかれ主義で世の中を渡ってきた。だが、今回は何故かどうにかしてやりたいと思った。
俺はしばらく、女と共に行動する事にした。
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砂に足を取られて転んだ女を、根気強く起こしてやる。
目の端に涙を浮かべながらも、女は立ち上がる。
女はまるで砂漠を一度も歩いた事が無いように見えた。
知識だけは多少あったが、それは文献でも見て得た知識のようで、実践的な知識では無かった。