water song(みずうた)

01-04.世界神話と命石

サク…サクっ。

ふと、何かに呼ばれている気がして立ち止まる。

前を歩いていたガルンが、振り返った。

「大丈夫か?」

心配そうな顔は、月明かりが無い今は狼男ではない。

背は、私よりほんの少し高い程度。

声も、狼男の時より高めだ。

牢に居た時には、伏せられていて判らなかった顔は、中性的な整ったものだ。

毛髪は黒がかった銀。

瞳の色は、琥珀色。
光の加減によっては、時折金にも見える。

狼男の時の豪快さに騙されて、夜に抱きしめられて仮眠して、朝目覚めた時の衝撃は、筆舌に尽くしがたい。

寝ている間に昇天してしまったかと思った程だ。

「おい…リール?」

のぞき込まれて、別の事を考えていた私は、はっと顔を上げる。

「大丈夫。街見えない…」


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