water song(みずうた)
そこには、緑に守られるように泉があった。

呼び声は、泉からしているようだった。

泉の底には、沢山の青と透明の石…ハイドロ石とオクシィ石…つまり、命石が転がっていた。

泉の水深は、私の膝より少し深い程度。

躊躇い無く、泉に踏み出した私を、ガルンが引き留める。

「お、おい、リール?」

「底に、埋まってる」

無数に転がる命石の間から、石版が覗いていた。

何か、文字が記されている。

私はガルンの手を離し、ザブザブと水に分け入り、水底に手を延べ、命石をよける。

一節、文章が現れたが…読めない。

落胆して肩を落とす。

「何か書いているのか?
あ、何だ、ムーンラック族の言葉だな。
…でも言い回しがだいぶ古い。」

私は驚き、ガルンを見た。

「読める?」

「ああ、もちろん。
村のばぁさまにたたき込まれた。」

ガルンは15歳までムーンラック族の村で過ごし、戦でそこが壊されてからは、3年ほど流浪の旅を続けていたそうだ。

つまり、今は18歳。

記憶が無いから明確ではないが、年を聞いたとき、若いという印象を持ったので、私は多分、ガルンより年上だ。

ガルンは、私がよけたより上の方の命石をよけた。
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