water song(みずうた)
微かな頭痛に、再び軽く頭を振ると、パラパラと砂粒がこぼれ落ちた。

砂まみれだ。

ため息をつき、払う。

(それにしても、暑いな。)

思い悩むにしても、もう少し、日陰など涼しい場所に移動した方が良さそうだ。

私は、そこで初めて周りがとても静かな事に気が付いた。

おそるおそる周囲を確認すると、そこは見渡す限り、『砂』それのみであった。

(前途多難…。)

++++++++++

ザク…ザク。

歩く度に響く砂の音のみが耳に届く。

ジリジリと、太陽はひたすら私から体力を削り取っていく。

喉は、渇き過ぎて痛みを伴い、唾を飲み込むのも一苦労だ。
そもそも、唾自体が少量である。


絶賛遭難中!

そんな看板を立てたくなる程の遭難っぷりだ。

それでも前に進むのは、あのまま何もせず死ぬのが嫌だったから。

(だけど…もう。)
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