water song(みずうた)
私はガルンを起こさないようにこっそりベッドを抜け出し、代わりにガルンをベッドに寝かせる。

細身とはいえ、男の子のガルンを動かすのは少し苦労したけど、なんとか成功し、先程落とした濡れた布を拾い上げ、机の上の盥の縁へ置いた。

私は部屋の観察を続ける。

部屋の隅には、ここ数日で見慣れたガルンの荷物が置いてあった。

窓の外には、街並みが広がり、広場も見えた。

ここは、どうやら街の宿屋のようだ。

恐らく、意識を失った私はガルンにここまで運ばれたのだろう。

倒れたのが嘘のように、今はすっかり気分が良い。

(それはそうと、お腹が減った。)

ドアの外からの食器のなる音と、漂ってきた良い匂いにつられて、私は扉を開けた。
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