water song(みずうた)
座らされた席で、ぼんやりと女性が入って行った方を見ていると、バンッと階上から扉を乱暴に開く音がした。

ガチャリ、と。

やはり乱暴に鍵をかける音。

ドガドガ。

踏み抜きそうな音で、誰かが階段を下りて来る。

余程慌ててるらしいその人物。

食堂中が、驚きと非難の視線を音のする方へと向ける。

階段からは、ガルンが現れた。

下りてきた勢いのまま、キョロキョロと辺りを見回し、私を見つけると、こちらへと向かって来る。

なんだか、怒っているようだ。

「が、ガルン?」

「お前な…。起きたなら声かけろよ、丸1日半寝てたやつが、突然居なくなってたら驚くだろ?」

そんなに寝てたのか。

てっきり倒れた次の日の朝かと思っていたが、翌々日の朝…だったらしい。

「ごめん…」

「まぁまぁ、元気になったんだし良いじゃないの。
それより、お兄さんも朝ご飯、食べるだろ。
すぐ持って来るから、座ってな!」

音に気付いて出てきたらしい女性が、とりなす。

ため息を付いたガルンは、私に手を伸ばす。

叩かれるかと思い、目を瞑るが、乱暴にぐしゃぐしゃといつものように、頭を撫でられただけだった。
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