water song(みずうた)
「ま、元気になったならいいや。
医者はただの過労と心労って言ってたけど、あんまりにも目を覚まさないから、心配してたんだぞ」

「ごめん…」

他に何と言って良いか思い付かず、私は再び謝罪の言葉を繰り返した。

トンっ。

私達が座ったテーブルの上に、湯気の立った皿と、パンの入ったカゴが置かれた。

「ほらほら、朝っぱらからそんな湿気(シケ)た顔してないで、食べた、たべた」

皿に乗ったベーコンエッグと、野菜タップリのスープの湯気が私の鼻をくすぐる。

ぐ〜。

ガルンの方を見ると、彼は顔を赤らめて、言い訳を口にする。

「仕方ないだろ、リールを看病してて、ろくに食べてないんだよ」

私は俯(ウツム)いた。

「せめてる訳じゃないさ。
さぁ、食うぞ。」

そう言ってフォークを掴むと、ガルンは猛然と目の前の食べ物に取りかかった。
< 36 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop