water song(みずうた)
「それじゃ、次はベッドメイクと部屋の掃除、頼むよ。
後でチェックに行くからさ」

私は食事の後、宿屋の手伝いを申し出た。

最初は食器洗いと食堂の掃除。
そこで中々見込みがあると女将さん…朝食を運んでくれた女性は、この宿屋の女将さんだったのだ…に認められ、正式に雇われた。

…まぁ、今日1日だけの予定だけど。

ガルンは、ずっと寝ていたんだし、あまりハードな事しない方が良いと私を止めようとしたが、私は動きたい気分だったので、大丈夫と言って押し切った。

掃除は楽しい。

まず、湿った茶殻を床にまき、隅々まで箒で床を掃く。

それから、雑巾で床を拭く。

掃除中は、砂漠を歩く時のズルズルした服とフードは邪魔になるので、女将さんから青い膝丈のスカートとクリーム色の上着を借りた。

お古なので汚しても大丈夫よ、と言われた。

掃除するのに、スカートはどうかと思ったが、女の子はスカートが標準装備なものだ…と言われた。

女の子の標準装備の記憶は無かったので、多分女将さんの言うとおりなのだろう。

他に服が有るわけでも無いので、大人しくスカートで掃除する事にした。
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