water song(みずうた)
階段を上ってすぐの扉を開ける。

ガルンが寝ていた。

(あ、人が居る時はどうするか、女将さんに聞いていなかったな…。)

扉が開いた音に反応して、ガルンは目を覚ましたらしい。

ぼんやりと私を上から下まで眺める。

ガルンは、寝不足だから寝とく…と、部屋に引っ込んでいたのだ。

そういえば、ここは私が目を覚ました部屋だ。

食事の後直ぐに宿屋の手伝いに入ったから、部屋に戻る事無く、どこで寝ていたのかすっかり忘れていた。

(確か、階段からすぐの部屋だったっけ。)

「で、リール。何してんだ?」

「手伝い。掃除」

ガルンは眉をひそめた。

「スカートで…か?」

「標準装備らしい…」

ガルンはため息をついた。

「騙されてるから。取りあえず、俺のズボン貸してやる。だから着替えろ」

ガルンはベッドから立ち上がり、荷物を漁った。

あの格好で雑巾がけしたら下着見えるっての…とか、ブツブツ言う声が聞こえた。

(下着…あ、そうだ。)
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