water song(みずうた)
「そこの綺麗な顔の兄ちゃん、串焼きはどうだい?ミラケ鳥の串焼き!」

ミラケ鳥は農家で一般的に飼われている、中型犬程度の大きさの鳥だ。

卵もミネラル豊富で、たべごたえがある。

という記憶が、ページを捲るように頭に浮かんだ。

たまに野生のミラケ鳥がモンスター化して、討伐されることもあるらしいが、飼い慣らされたミラケ鳥は、至って大人しく従順らしい。

私は食べたことが有るのだろうか?

自分に問いかけてみるが、やはり自身については変わらず答えはない。

「そんじょそこらの串焼きと一緒にしてもらっちゃ困るよ、うちはタレが自慢でねぇ。」

屋台のオジサンの口上は、滔々(トウトウ)と続いていた。

ガルンは呆れたように手を振った。

「あーわかった、わかった。
だがな、残念ながら、ついさっきメシを食ったばかりで、あまり腹が減ってないんだ。
…そうだな、俺達はこれから買い物に行くんだが、店を一周して、また来るよ。
そん時になりゃ、小腹も減ってるだろうさ。」

ついでに言い足す。

「ま、自慢のタレ、確かにいい匂いしてるし、その時まで残ってるかはわからなそうだがな」
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