water song(みずうた)
「是非食べて貰いたかったのに、残念だな。

また今度腹減ってるときにでも寄ってくれよ、待ってるぜ。

…あ、そこのしとやかな若奥さん、串焼き食べてかない?」

屋台のオジサンの興味はあっという間に、別の客へと移る。

市場は色々な匂いと人々で活気に溢れている。

そろそろ夕食の買い物し時というのも有り、今が一番混んでいる時間。

だから仕方ないんだけど、本当にガルンとはぐれてしまいそうだ。

「何か欲しい物とか見たい店はあるか?

あ、先に言っておくが、下着は一緒に見に行けないからな」

(欲しい物…うーん?)

私は首を振りつつ答える。

「良くわからない。ガルンは?」

「俺は取りあえず武器屋に行きたいな。

盗賊からは短剣しか取り戻せなかったし。

あの剣、結構気に入ってたけど、仕方ねぇしな…。」

ガルンは顎に手をやる。

ガルンが顎に手をやるのは、悩んでいる時のクセらしい。

「そうだな。

武器屋見た後は、取りあえず市場や商店をぶらついて必要な物をみつけるか」
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