water song(みずうた)
「うん、コレがいいな。コレをくれ店主。」

磨き上げられた剣を裏表、細部に渡って確認し終わったガルンは、その剣を買うことに決めたらしい。

安堵感からくるものと思われる笑みを浮かべる。

「何時も剣を腰に下げてたのが、急に無くなって心許なかったんだ。」

笑みを私に見られて、照れたのか早口で言ってくる。

「五千ダリになります」

ガルンは財布から金を出し、カウンターに置く。

五千ダリは、一般庶民1人の約1ヵ月の食費程度の金額だ。

(※千ダリ=約一万円程度)

「はい、たしかに。すぐお使いになりますか?」

「ああ。包装はいらない」

ガルンは、店主から剣を受け取り、空いていた剣帯に下げた。

「それじゃ、行くか。」

私に声をかけて、店の入り口へと向かった。

「またどうぞ」

店主の声を背に、私達は店の外へと出た。

武器屋を出た途端に、ざわめきが、私達を包む。

「次は、雑貨屋にでも行ってみるか。何か必要な物見つかるさ」

必要な物。
改めて真面目に考える。

えーと、旅に必要な物はみんなガルンがもっているし、強いていうなら…ああ、毛布と杯は必要かも。

ようやく思いついた必要な物をガルンにつげた。
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