water song(みずうた)

01-02.盗賊遭遇と恩人

目を醒ますと、縛られて荷台に乗せられていた。

「お?目醒めたか、嬢ちゃん」

むさ苦しい顔に薄汚れた服。

手には、ナマクラの武器。

まるで、盗賊見本のような盗賊だった。

休憩中か、見張り役なのだろう。

「へへへ、そう怯えなさんなって。こちとら、行き倒れの恩人だぜ。」

下品な視線を隠す事なく、こちらを見やる。

わざわざ反応してやる義理もないが、眉が少し跳ね上がってしまう。

喉の渇きが多少癒されているのを感じたが、感謝の気持ちは湧かない。

どうやって口に水を入れられたかも不安だ。

(それより。)

如何にしてここから抜け出すか…。

気が進まないが、情報を引き出すため、口を開く。

「で。ここは何処の盗賊団さんですか?」

「おおよ、嬢ちゃんも誰に助けられたか、知っとくべきだよな。ここは“疾風の黒風”の荷馬車の中よぉ」

男は得意げに、ペラペラと情報提供してくれた。

(コモノめ。)

これなら簡単に情報は手に入れられそうかな?

ただし、この男の知っている範囲限定で。

“疾風の黒風”さんがどの程度かは知らないが、私だったら、目の前の男に、機密情報は絶対話さない。
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