water song(みずうた)
その時、ちょうど接客を終えたらしい店員さんが、こちらにやって来た。

「店長、お客様を困らせてはダメですよ?」

「そんな、店長なんて他人行儀な…おにぃちゃんて呼んで良いね。」

「…馬鹿兄貴、あんまアホな事ばっかり言ってると、外に吊すよ?で?何お客様を困らせてるの?」

「え?ボク困らせては無いね。ただ一緒に旅したいって言っただけ」

「よっしゃ、兄貴を厄介払いするチャンス!」

「「「え?」」」

三人の声がハモった。
三人とは、店長、私、ガルン。
妹さん…ジルさんは、取り繕うように薄ら笑いを浮かべた。

「大丈夫よ、おにぃちゃんお店はバッチリ任せてね。お客さん、ここは野良犬に噛まれたと諦めて、兄貴をよろしく。」


「ち、ちょっとリールと二人きりで相談してみるよ。
今日の所はこの街を出る予定でないし、なにより、店長?も…」

「あ、旅の仲間になるのに、名乗って無かったね。
ボクの名前はゼルド言うんよ。」

「そうか、えー。
ゼルドさんも準備出来て無いだろうし、お得意さんとか、ご近所に挨拶しなきゃ無いだろうし…。
とりあえず今日は、毛布と杯を買って、俺達は宿屋に帰るよ。」
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