water song(みずうた)
すらすらと頭の中に思い浮かんだ魚談に、自分の事ながら苦笑するしかない。

(毎度の事ながら、知識だけは豊富…なんだよね。)

「リールちゃん?」

戸惑っている女将さんに気付き、慌てて苦笑を引っ込めて質問する。

「水魚は高価だと…」

「ああ、リールちゃんは知らないのか。この街は水魚の養殖をしててね、人工的に水魚を育てていて、他の街よりは高価じゃないんだよ。時間があったら、養殖場を見学に行くと面白いかもね。」

そこまで言った所で、女将さんは他のお客さんに呼ばれて、其方に向かった。

(養殖場か。面白そうだな)

「ん?どうした?リール。そんな所で突っ立って。」

声に振り向くと、ガルンが階段から降りてきた所だった。思ったよりも長くボーっとしていたようだ。

「養殖場の話を聞いた。魚の。」

「ふーん、魚を養殖してるのか。面白そうだな、後で行ってみるか。…おっ、今朝の飯は水魚かっ!なる程、それでか。しかし朝から豪勢で旨そうだな。ほら、リール、ぼけっとしてないで、さっさと座って朝飯食おうぜっ」

私はガルンに引きずられて、適当な席へ座った。すぐに女将さんが料理を運んで来る。
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