water song(みずうた)
朝ご飯が魚だったので、昼ご飯はお肉になった。

「やっぱり先に、中央広場に行ってみるか?リール、気になってるみたいだし。」

肉を切り分けながら、ガルンが聞いてきた。

私はサラダを口に運びながら首を振る。

後にしておいた方が良いような気がした。

(多分、行ったら戻れない。)

もう少し、知らないままでいたい。

浮かんだ思いに、おそらく中央広場に…いや、いくら鈍くてもわかる。

命石と、大量の水に、私の記憶が隠されているのだ。

そして、そこに行くと決定的となるのだ。

私の胸にざわめく予感。

(私は…異質だ…という事が)

薄々感じているそれを、少しでも引き伸ばしたくて、私は先にギルドに行こうとガルンに言った。

「それよりリール、大丈夫なのか?」

唐突な問いに、心を見透かされたような気がしたが、素知らぬふりで問い返す。

「何が?」

ガルンの手が、私の頬へとのばされた。

「顔、青いぞ。」

温かなガルンの手。

ざわめく心が少しだけ落ち着く。
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