water song(みずうた)
「そのままでは不便だろう?」
手の拘束を解いてもらい、ホッと息をつく。

「グズグズしている暇はない」

軽々と体を持ち上げられ、そのまま外へ。

外にでると、狼男は屈めていた腰をのばし、私を右肩に乗せた。

右腕で私の体を固定する。

私は、おずおずと体に回された腕を掴んだ。

「そうだ、そのまましっかり捕まっていろ」

狼男はニヤリと笑う(多分)と、前を向く。

牢を破った音が大きかったからか、既に数人の盗賊達が周囲に集まってきていた。

「剣があれば楽だが、仕方あるまい。行くぞ」

狼男は、盗賊達目掛けて跳躍した。
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