water song(みずうた)
あらかじめ、人払いがされていたのか、道には人が居なかった。
今は夜のようだ。
通りは暗く、深閑とし、ヒンヤリとした、昼には無い気温。
家々の窓から灯りがもれている。
「リールさん、あなたのおかげで、街から月を見る事が出来なくなってしまいましたよ」
言われて、不安定な状態ながら上を見上げると、夜空がぼやけていた。
(…水?だけど…)
「何故か水滴は、一粒も下に落ちて来ませんがね」
私の心を呼んだようなタイミングで、街長がつぶやく。
「まさに人間技ではありませんな。一体、どういう仕掛けなんでしょうね?」
「知らない」
私は、言われるままに歌っただけだ。
しかも、あの状況で歌った為か、歌詞の一片すら覚えていない。
(歌詞を覚えていれば、どういう効果かくらい判ったかもしれない。“蔦揺らしの歌”みたいに)
「惚けられるのも今のうちですよ。まぁ、このような状態では、まともに話も出来ませんね…」
街長は随行(ズイコウ)している警備兵を急かし、自身も早足となった。
今は夜のようだ。
通りは暗く、深閑とし、ヒンヤリとした、昼には無い気温。
家々の窓から灯りがもれている。
「リールさん、あなたのおかげで、街から月を見る事が出来なくなってしまいましたよ」
言われて、不安定な状態ながら上を見上げると、夜空がぼやけていた。
(…水?だけど…)
「何故か水滴は、一粒も下に落ちて来ませんがね」
私の心を呼んだようなタイミングで、街長がつぶやく。
「まさに人間技ではありませんな。一体、どういう仕掛けなんでしょうね?」
「知らない」
私は、言われるままに歌っただけだ。
しかも、あの状況で歌った為か、歌詞の一片すら覚えていない。
(歌詞を覚えていれば、どういう効果かくらい判ったかもしれない。“蔦揺らしの歌”みたいに)
「惚けられるのも今のうちですよ。まぁ、このような状態では、まともに話も出来ませんね…」
街長は随行(ズイコウ)している警備兵を急かし、自身も早足となった。