water song(みずうた)
トン、トン、トン。
ノックの音に、花が生けられたツボの前に居た私は、ハッと振り返った。
「失礼します」
入って来たのは、私に敗北感を植え付けた侍女さん。
「あ!」
入って来て、私を一瞥するなり、悲鳴を上げた。
(な、何かしたかな?)
まだ、何もしてないはず…。
私は彼女の動向をうかがう。
「何で裸足なんですか!?」
ああ、そういえばそうだっけ…。
「歩きにくい」
素直に答える。
しかし、この答えは気に入ってくれなかったらしい。
彼女の顔が、みるみる内に険しくなる。
避難命令が、先程から頭の中で発令されているが、私は動く事が出来ない。
「歩きにくいからといって、淑女が裸足になるものでありません!」
(うわ、でたよ“淑女”…)
屈辱の敗北を喫した闘いの間、彼女は、淑女はどうあるべきか、訥々(トツトツ)と語っていた。
よほど淑女に対する思い入れが強いらしい。
思いは、個人の自由だし、口出しすべきではないとは感じる。
だが…。
(私にそれを求めないで欲しい。)
彼女は溜め息をついた。
「まぁ、良いです。それより、街長がお待ちですので、靴をお履きになって此方へどうぞ」
ノックの音に、花が生けられたツボの前に居た私は、ハッと振り返った。
「失礼します」
入って来たのは、私に敗北感を植え付けた侍女さん。
「あ!」
入って来て、私を一瞥するなり、悲鳴を上げた。
(な、何かしたかな?)
まだ、何もしてないはず…。
私は彼女の動向をうかがう。
「何で裸足なんですか!?」
ああ、そういえばそうだっけ…。
「歩きにくい」
素直に答える。
しかし、この答えは気に入ってくれなかったらしい。
彼女の顔が、みるみる内に険しくなる。
避難命令が、先程から頭の中で発令されているが、私は動く事が出来ない。
「歩きにくいからといって、淑女が裸足になるものでありません!」
(うわ、でたよ“淑女”…)
屈辱の敗北を喫した闘いの間、彼女は、淑女はどうあるべきか、訥々(トツトツ)と語っていた。
よほど淑女に対する思い入れが強いらしい。
思いは、個人の自由だし、口出しすべきではないとは感じる。
だが…。
(私にそれを求めないで欲しい。)
彼女は溜め息をついた。
「まぁ、良いです。それより、街長がお待ちですので、靴をお履きになって此方へどうぞ」