教師失格☆恋事情



可愛いなんて言われて、ちょっと怒った先生は、やっぱり可愛くて


もう少し困らせて見ようって思ったのに、差し出された食べ掛けのパンに、らしくもなく動揺して、笑って返せずにいた。


間接キスだよ、先生


わかってる?


普通にしないでそんなこと


無かったことにしたかった筈の昨日のキス

先生はどう思ったの?


「先生…」


「………」


「先生…私…」



「なんだ食わないのか?そう言えば昼飯食ったばっかだったな。」


沈黙の後の言葉さえ最後まで聞いてくれずに、背を向けてパンをかじる先生


今の距離は、どこから見ても教師と生徒で、それを縮めることなんて無理なんだ。


「…先生はなんで先生なの?」


この言葉の意味も、先生はきっと、正しく


「…なんで…って」


ちょっと困った顔で、教師らしく答えるだろう


「そうだなぁ…」


それでも私は、そんな生徒が大好きなんだって思っちゃうんだから困るんだ。



「、自分の生徒が大人になった時に、心に残っていられるような、そんな人になりたかったからかな。まぁ、恩師ってヤツ」



「恩師…」


「そう、でも佐山もわかってる通り、ダメダメ教師だけどな、志し高く、ってな」




胸が苦しいような感覚を抑えようとした。


それでも溢れそうになる


先生の特別になることが無理なら


先生の心に残る生徒に、私はなりたい。


はにかんだような笑顔の先生を見て、そう思った。


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