教師失格☆恋事情
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週末に行われる体育祭に向けて活気付く校内
垂れ幕を作る生徒や、校庭で練習する生徒
まとまりのあるクラスと、そうじゃないクラスの差が一目瞭然になる。
それによって作業の進み具合も違ってくるわけで、手際よく進む準備に、自分のクラスが前者であることを再認識した。
…一致団結。
みんなで1つのモノを作っていく
学生時代にしか味わえない思い
特にクラス対抗の競技なんて燃えに燃える種目だ。
優勝なんてしたものなら、雄叫びを上げてしまうかもしれない。
青臭いとか古いなんて言ってくる冷めた生徒もいるけどな。
『…生徒たちの心に残れるような教師でありたい』
それを話したのは佐山が初めてかもしれない
『なんで先生なの…?』
そう聞いてきた佐山の視線に、心を見透かされたようで、素直な言葉で答えてたんだ。
教師らしくない俺が、優秀な生徒である佐山に言えることじゃないかもしれないけど。
クラス全体に目を配り、適格な指示を出す佐山は、俺にはもったいないくらいの教え子だと思う。
佐山が俺を見ると、視線が重なる
最近目が合う回数が増えたように思うのは、佐山が俺を見ているからでも、俺が佐山を見ているからでもない
俺が…佐山の視線の先を気にしてるからだ。
佐山を意識してるから。