教師失格☆恋事情
声のする方へ体を向ると、完成されたキャタピラの横に、得意気な顔をした小高沙紀が立っていた。
「どうですか?完璧だと思うんですけど…」
「すごいな〜。小高はこういうの得意なんだな」
「得意っていうか、早く終わらせないと、部活の時間もデートの時間もなくなっちゃいますからね〜。」
「しっかりしてんな〜」
「完璧主義って言ってくださいよ」
…完璧主義か
意外と不器用な佐山の一生懸命な姿が浮かんだ。
「少しくらい苦手なことがあったほうが可愛いもんだぞ〜」
「例えば?」
「いや、ほら、よく言うだろ、ギャップってやつだ、」
俺を見ていた小高の目が、佐山のいるキャタピラに向けられた。
「…ふ〜ん…、例えば成績優秀で何でも出来ちゃうような女の子が意外と不器用…とか?」
「ま、まぁそればかりじゃないだろ、」
「でもそういう子に限って、陰で凄いことしてたりするんですよ。」
小高はにこりと笑った。
トゲのある言い方に聞こえたのが気のせいだと思わせるくらいに。
次々と完成されていくキャタピラ越しに見える未完成の箱
そこから佐山が顔を出してすぐに、バランスを崩したキャタピラ。
キャタピラの上に置いてあった道具が大きな音をたてて、落ちていく
「危ないっ」
叫ぶ声が聞こえる前に、無意識に走りだした。
小さな悲鳴と一緒にしゃがみこんだ佐山の身体はすぐに見えなくなった。