Bitter Chocolate
 「遅い時間にごめんね、じゃあ」

 「あ、待って送るから…」

 「大丈夫、…その、送ってくれる人いるから」



 踵を返す大槻に俺は男らしく見送りを申し出たけど大槻は断った。

 言いよどんで俺から視線を外すとその先に黒いコートを着た背の高い男が立っていた。


 街灯の光から身を隠すように影の中に立っているせいで顔ははっきりと分からないが遠めに、暗がりの中で見ても若く男前に見えた。

 こんな時間に送るとなると…。じゃあ俺が貰ったこれは本命でなく?
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