Bitter Chocolate
 「大槻!」

 「あ…山瀬くん」

 「待たせたよな…寒いのにごめんな」

 「ううん、平気」



 会話だけを聞いたら恋人同士のような甘い会話。

 その会話の甘さに俺の心の中にいるもう一人の俺がふやけているともう一人の現実的な俺が「いつチョコについて切り出すんだ」と急かしてきた。


 よく漫画なんかで見かける天使の俺と悪魔の俺の言い争いというやつだ。

 勿論天使の俺も悪魔の俺も自分自身だから両方の言い分は分かる。

 だけど会って直ぐに男の方から付き合ってもいないのに「チョコは?」なんて切り出せない。

 しかしそんな俺の気持ちを察したように大槻が「あのね」と切り出してくれた。
< 7 / 21 >

この作品をシェア

pagetop