愛しいひと







携帯のアラームで目を覚ます。

眠い目を擦りながらカーテンを開けると、朝日が部屋中に広がり、辺りを照らす。

スウェットのまま洗面所へ行き、冷たい水で顔を洗うと少しだけスッキリした気分になる。

朝食を軽く食べてまた部屋へ戻り、新しい制服に腕を通す。
着慣れない制服はどこかぎこちなく着心地が悪かった。

時計を確認したあと、鏡と向かい合い素早く化粧をする。
基本化粧は好まないので本当に軽くするだけ。
茶色のかかった長い髪をとかし、全身をチェックしたあと空っぽの鞄を持ち玄関へむかう。


もう、いってらっしゃいと言ってくれる母親はいない。

自分で鍵をかけエレベーターまで歩く。


ここは7階。
眺めはとても綺麗だ。
見上げると空が近く感じた。


フロントを出て河原に沿ってゆっくりと歩き出した。
時間には余裕がある。
それに、マンションから新しい学校までは20分もかからないだろう。






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