愛しいひと
今日から通う『城山高校』
綺麗とは言えないが、ぼろくもない。
それに葵は屋上さえあればいい。
屋上は前の学校でもよく使っていた。
校舎に足を踏み入れ職員室を探す。
登校時間より少し早いくらいで、部活をしてきたばかりだと思われる、汗をかいた人が何人か目にはいった。
誰かに聞こうかと思ったが、意外にも簡単に見つかった。
見慣れぬ人だからか、周りからの視線を少し感じた。
しかし気にせず職員室へ向かう。
すると、急に肩に痛みが走った。
目の前で転がっているバスケットボールを見て、当たったのはこれか、と解釈する。
そこまで痛くもなかったので、肩を手ではたき、砂を落としてから歩きだそうとする。
それに話したりするのも面倒くさいと思ったから。
しかしそんな思いも虚しく、後ろから叫び声が聞こえた。
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