天国からの贈り物(実話)
『ばかだな…あいつは…一人前の大工になるのには、まだまだだと言ったのに…親より先に逝きおって…』


お父さんの仕事焼けした肌に沢山の涙がこぼれ落ちた


台所からお母さんの啜り泣きも聞こえた


『麗奈ちゃん…卓也はワシよりいいセンスを持っていたよ…あいつにはまだまだ修業をさせたかったよ……』


そう言うとお父さんは仏壇に大工道具を並べた


麗奈は大きなお父さんの背中に抱きつき泣いた


『しっかり釘たたけよ…』


その夜お父さんは、ずっと仏壇の前で卓也に話しかけていた…



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