天国からの贈り物(実話)
『卓也兄ちゃんのお嫁さんだ!!何で泣いてるの?どこか痛いの?』


見上げると5歳くらいの男の子が麗奈の顔を覗き込んでいた


『お姉ちゃん卓也兄ちゃんまだ怪我まだ治らないの?椅子を作ってくれる約束してたのに!』


卓也がよく言ってたガキって…この子の事だったんだ


『あなた名前は?何でお姉ちゃんの事知ってるの?』


『僕は優太(ユウタ)。卓也兄ちゃんが毎日、お姉ちゃんの写真見せてお嫁さんだよって言ってから!あのね優太の新しい家がもうすぐ完成するんだよ!ママから卓也兄ちゃん怪我して病院にいるって聞いたんだ!お兄ちゃんのお見舞い行きたいけどママが大きな病院だから子供は行けないって言うんだ!お姉ちゃんはお嫁さんだから卓也兄ちゃんに会えるんでしょ?』



『う、うん…会えるよ。優太君…お兄ちゃんね…』


あたしは涙をこらえながら優太君をおもいっきり抱きしめた


『卓也兄ちゃんね…。遠い国に行ってしまったの。だから卓也兄ちゃんが作った優太君の部屋大切に使ってほしいの…。』


『遠い国?じゃあ僕と約束した椅子は作ってくれないの?』


『遠い国で優太君の椅子ちゃんと作ってくれてるはずだよ!』


『分かった!じゃあお姉ちゃんが伝えてて!僕の部屋広く作ってくれてありがとうって…部屋も大切に使うよ!』


『うん…。じゃあ指きりしよう。約束ね!』


あたしは小さな優太君の手と指切りをした


そして優太君は嬉しそうに走って行った




卓也…


あなたの作った家は



夢いっぱいだったよ



優太君の目が卓也と同じようにキラキラしてた



卓也の思い…


ちゃんと通じてたよ




あたし



この場所に来て良かった


卓也の夢が見れて



良かった…









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