天国からの贈り物(実話)
麗奈が肩を震わせながら投げた瞬間、目の覚めるような音がした



パシッ−−−−−−!!



『俺を馬鹿にしてんのか?それとも同情か?』




正樹はおもいっきり麗奈の頬を叩き胸倉を掴んだ



あたしはどうしたらいいの?


こんなになるまで正樹を傷付けて苦しめて…


殴るなり殺すなりしてほしい…麗奈は抵抗することなく目を閉じた


それで正樹が気がすむのならそれでいい……



『麗奈…頼むから素直になれよ』


『えっ……?』



そう言うと正樹は麗奈から手を外し激しい雨の中、傘もささずにびしょ濡れになりながら投げたネックレスと指輪を必死に探して麗奈の首につけてくれた



あたしはどうしていいかも分からずに正樹を見ていると



『もう…終わりにしよう』



正樹が涙で声を詰まらせながら言った


正樹なりの優しさだった


その声は


雨の音で


消されあまり聞き取れなかった



『俺は雨男なんかじゃない…この雨は卓也さんの涙だ…』



『卓也の…涙…?』



『ああ…卓也さんが本当なら麗奈のそばには俺がいたはずなのに…って悔し泣きしてたんだよ…それぐらい気付けよ!!』



正樹はひざまずき床を激しく何度も叩いた
手には血が流れていた


『正樹…もう止めて…これ以上自分を痛めつけないで…』


麗奈は血だらけになった手を胸に当て、正樹を抱きしめた


『無理しなくても…必ず幸せになる日はくるから俺はいつまでも待ってるよ…叩いたりして悪かったな……大丈夫か?』




最低な女だったのに…


最低な妻だったのに




正樹は麗奈の叩いた頬をずっと撫でてくれた




正樹


何もしてあげれなくて


ごめんね…



貴方の幸せを願うしかくなんてないけど、


どうか


この先が貴方が笑っていてくれますように……







< 66 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop