君と僕<短編>
「元気だった?」
君は、店員のコに聞いた。
「うん、元気元気!その人は・・・?」
店員のコは、突然、僕の方を見た。
「彼氏の・・・太郎」
君は、少し恥ずかしそうに答えた。
「こんにちは」
軽く頭を下げる。
「この子は、幸絵。高校のときの友達」
君は、その子の事を僕に紹介した。
「へぇ」
僕は、こういうのに慣れてないし、正直、君の友達に会うのは初めてだから、少し緊張した。
「そういえば、何で幸絵がここに?」
「うん・・・それなんだけどね、あたし、純也と結婚することになったんだ」
一瞬、君の顔が引き攣ったように見えた。
僕の・・・気のせいかな?
「へぇ、そうなんだ・・・おめでとう」
しかし君は、すぐに笑顔を作った。
「だから、あたしもお店、手伝おうかなって!」
どうやら、純也というのはマスターの事らしい。
複雑さと、気まずさが混ざり合って、変な胸騒ぎがした。
君は無理に笑っていた。
いっつも一緒にいる、僕には分かった。
でも、どうすることも出来なかった。