君と僕<短編>



すぐに、君の顔が浮かんだ。

なんか、あったんじゃないかって。


さっきのテンションは、もうどこかへいってしまった。



とにかく、今は車を飛ばすしかない。


家の付近まで来た頃、救急車のサイレンの音が聞こえてきた。


ヤバイんじゃないか・・・


不安が込み上げる。

家の前には、確かに、一台の救急車が停まっていた。


ヤバイぞ


車から飛び降りる。


ん・・・・?

救急車の中には、血まみれになって倒れる君の姿があった。

たくさんの管に繋がれている。


「あ・・・恋人の方ですか?」

救急隊員の一人に聞かれ、頷いた。

すると、すぐに救急車に押し込まれ、病院へ直行した。


訳が分からないまま、不安だけが募った。



待合室で、ずっと彼女の無事を祈る。


1・2時間程して、ようやく名前が呼ばれた。


病室に入ると、青白い顔をした彼女が眠るようにベットの上にいた。

彼女の手を握り、必死にまた祈った。


しばらくして、どこから聞き付けたのか、マスターと幸絵さんも駆け付けた。


マスターは、入って来るなり、いつものマスターとは考えもつかない程、泣いていた。


次に僕の顔を見て、今度はマスターが僕の胸倉を掴んだ。


「お前・・・お前、何やってんだよ!」


病室の空気が張り詰めた。


「・・・何が、お前なんかには負けねぇだよ!何で一緒にいなかったんだよ!」


僕は、何も言葉が出なかった。


「なんか言えよ!」


マスターは、手を離し、その場に座り込んでしまった。


涙も出なかった。


何で僕って、いっつもこうなんだろうって本当に嫌になった。


イライラした。

悔しかった。


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