君と僕<短編>



「ほんと?うれしい」

君は、屈託のない笑顔を僕に向ける。


僕は、調子に乗って三皿もお代わりをした。


「太郎、お腹大丈夫?」


食べ過ぎて気持ち悪くなり、ソファーで横になっていると、君が、上から覗き込むようにして僕を見た。


「う・・・ん、なんとか」

腹を押さえながら、額に滲む汗を拭った。


あ、そういえば今日は4月1日。


「順子、カレンダー」


「あ、そうだね。もう4月かぁ」

カレンダーをめくりながら呟く君。


「ねぇ、路上ライブっていつだっけ?」

黒いマジックペンを握りながら、君は僕に聞いた。


「五日だよ」

僕が答えると、君はペンのフタを外してカレンダーに書き込んだ。


この日は、僕にとってある意味、忘れられない日になりそうだ。

なんせ、とっておきのサプライズを用意してるから。


その内容は、まぁいたって単純なものだけど。

路上ライブの最後に新曲を披露し、客の前で僕が君に感動的なプロポーズ。


そんな感じにいけばいいと思う。


僕は、サプライズとかちょっと洒落たことが好きだから今からワクワクして、落ち着かない。


いつだったか、君の誕生日の夜、突然君の家に行って大きいテディベアをプレゼントした事があった。

君はびっくりしてたけど、すごい喜んでくれて、そのサプライズは大成功に終わった。


君は、こういうのに引っ掛かりやすいから可愛いんだ。


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