恋文~指輪が紡ぐ物語~
   * * *

 衣替えもすみ、少し軽くなった制服が夏を感じさせる。

 だけど、空模様はあいにくの雨。ここのところ毎日続く雨にみんなうんざりしてる。この雨を越えれば、夏が待っている。


 そんな時に事件は起きた。


 いつものように花乃は、幼なじみの志穂と登校し、いつものようにげた箱を開けた。
 するとそこに、いつもとは違うものが入っていた。

 花乃はそれを見つめたまま首を傾げた。

「花乃、どうかした?」

 そんな花乃の後ろから志穂がげた箱の中を覗き込んだ。

「しーちゃん、これ…不幸の手紙?」

 至って真面目な顔で言う花乃に、志穂は呆れる。まぁいつものことだけど、と心のなかで思いながら。

「今どきないでしょ、それは。ラブレターとか思わないわけ?」

 花乃はきょとんとして笑った。

「やだ、しーちゃんてば。それこそないって」






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