恋文~指輪が紡ぐ物語~
「だって、その人に会いたいんだろ?」
花乃は、松岡を見上げたまま。こくりと頷くだけ。
「だったら、考えないと。まずは思い出さないと、きっと会ってもらえない」
花乃は、はっとした。
ーーそうだ。彼に会わなくちゃいけない。思い出さなきゃいけない。
「で、俺思ったんだけど、手紙でもかいてみたら?」
きょとんとした表情で、手紙?と呟く花乃を見て、松岡はしたり顔をしている。
「そう、手紙。だって、相手も花乃ちゃんに思い出してもらいたいんだから、またげた箱に手紙を入れてくると思わない?」
きょとんとした表情から一変、はっとした表情に変わった花乃をみて、松岡は頷いて見せた。
「そういうこと」
「松岡くん、すご~い」
満面の笑みを見せる花乃に、松岡は僅かな照れと共に焦燥感に襲われた。