恋文~指輪が紡ぐ物語~
 無邪気な笑顔の花乃と呆れ顔の志穂。

 ふたりはマンションで隣同士の幼なじみ。

 だけど、性格も見た目も全く違う。

 おっとりマイペースで引っ込み思案な花乃。
 しっかりしてて頼りになる姉御肌な志穂。

 いつもふたり一緒。

 花乃は志穂を頼りにしていて、志穂は花乃を可愛がっている。

 端から見れば仲のいい姉妹のように見える。



「いいから、見てみなよ」

 花乃の手にある封筒には大きな『花乃さま』との文字。あまり上手とは言えない、だけど一生懸命が伝わってくる。
 封筒を裏返したら、何も書かれていない。

 花乃はゆっくりと封筒を開けて、手紙を取り出す。

 手紙には、封筒に書いてあった文字と同じ人が書いたであろう文章。
 文章というよりも、一言。

 書かれていたのは、たった一言。


『好きです』





「し、しし…しーちゃんっ」

 動揺している花乃の手元を覗き込み、志穂はしたり顔で、ほらね、と笑う。







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