恋文~指輪が紡ぐ物語~
志穂には意味が分からない。松岡は何を言っているのだろう?
「花乃ちゃんにとっては、辛い話かもしれない。だけど、俺は伝えなきゃいけない。彼女は知らなきゃいけない」
「…なんの話?」
意味が分からない。
しかし、そんな志穂などお構いなしに、松岡は話を続ける。
「君が花乃ちゃんを大切に思うように、俺にも大切な友達がいる。…もうすぐ、終わる。だから、頼むから…黙っててほしい」
話している松岡は辛そうで苦しそうだ。無理やり言葉を絞り出しているようで、志穂も胸が痛くなった。
そんな松岡を見て志穂は何も言えなくなってしまった。
「…俺も、花乃ちゃんを泣かせたいわけじゃない。立場が違えば、知らなくていいと思ったかもしれない」
ポツリと呟いた彼の言葉は、あまりにも小さなものだった。