恋文~指輪が紡ぐ物語~
 窓際の後ろから2番目。席に着いたと同時にチャイムが鳴った。

 教室に現れた先生が何かしゃべっているけど、花乃の頭には入ってこない。

 生まれて初めてのラブレター。
 差出人は書かれていなかった。

 そして、あの指輪は?

 花乃の頭は、その事でいっぱいだった。

 志穂は気味が悪いと言っていたけど、花乃はそうは思えなかった。

 確かにあの指輪を見た時に感じた。

 大切なモノだと。





 授業は勝手に進んでいく。
 先生が教科書を読み上げている声が遠い。

 窓の外、降り続く雨の音が不思議と耳につく。

 そんな音を聞きながら、花乃はもう一度げた箱に入っていた封筒を取り出した。

ーーあれ?

 花乃が感じた戸惑い。
 封筒が薄い。ぺちゃんこで指輪が入ってるとは思えない。

 慌てて、封筒の中を確認する。
 手紙を出して、手を封筒の中に入れ探るけど、何もなかった。

 うそ、どうしよう…。

 一瞬で頭の中が真っ白になった花乃は、授業中にも関わらずキョロキョロと自分の机のまわりを探した。

 しかし、それらしい物は見つからない。







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