恋文~指輪が紡ぐ物語~
自分の部屋へ着くなり、花乃は制服のままベッドに倒れ込んだ。
頭の中がぐじゃぐじゃで、何が哀しくて涙が止まらないのか分からなくなっていた。最初は浩介がもういないこと、最後まで自分を思っていてくれたことに申し訳なさを感じていた。
思い出すのは、小さなころ浩介とふたりで遊んだこと。
いつもおばあちゃんの家に行くと、浩介と遊んでいた。彼の後ろについてどこへでも行った。
あの時、花乃は浩介のことが大好きだった。
そして、今もうひとつ思い出すこと。さっき別れた松岡の後ろ姿。
もう、何もかも忘れて眠ってしまったら楽かもしれない。目が覚めたらすべてが夢だった、そうなってほしい。だけど、そんなわけにはいかない。
その日は、目を閉じても眠りはいっこうに訪れてくれなかった。