恋文~指輪が紡ぐ物語~


 花乃が玄関のドアを開けると、志穂が立っていてドアにぶつかりそうになった。

「わっ、びっくりした。ってか、花乃!?」

「しーちゃん!? ごめん、大丈夫?」

 志穂のこんなに驚いた顔を見ることはめったにない。

「こっちの台詞。花乃こそ、大丈夫なの?」

 いつも思う事ながら、美人が凄むと迫力があるなぁなんて関係のない事を考えていた花乃だったが、志穂の次の言葉に愕然とした。

「今日からテストだよ」

「え? ええっ!?」

 最近、驚く事ばかりある。なんてのんきに考えている場合じゃない。

 今日は何日だっけ? というよりテストっていつからだっけ?
 花乃は混乱して意味のない事ばかり考え始めた。

 そんな花乃を見ていた志穂は、ため息を吐きながら一番大事なことを教えた。

「やっぱり。今日は世界史と物理と英語」

「…うう、苦手ばっかり」

「まったく、早く学校行って勉強するよ」

「しーちゃん、頼りにしてる」


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