ヴァンパイア†KISS~孤高の花
「いい加減、ひざまずくのはやめてください、叔父上。私はあなたの上でも下でもない」

デュオは差し伸べている手をさらにウルフガングに向かって突き出す。

「わかった。君を一人前の男と見込んで、対等に接しよう……デュオ!」

ウルフガングは嬉しそうにデュオの手を取り、立ち上がった。

「デュオ、君は…母に似ているな…。君の中に、クローディアと同じたぎるような情熱を感じる。そう、その目……タンゴの目、だ」

ルシアはデュオを振り返った。

デュオの瞳は、高貴なバイオレットの中に、燃えるような官能と情熱を孕んでいた。

ルシアは兄のそのような瞳を初めて見た驚きで目を見開いた。

いつも冷静で心をどこかに押し隠したような瞳のデュオ。

その心の奥深くにあるはずの孤独さえ感じさせず。

この時、ルシアはどうしようもなく、兄に惹かれた。

自分は、母の冷たい仕打ちにワケがあることなど考えたこともなかった。

母には、愛している人がいた。

その、人の心の奥深くまで見抜く兄の神秘的な瞳。

兄なら……自分の孤独をわかってくれるかもしれない……。


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