ヴァンパイア†KISS~孤高の花
ヴァンパイアの歴史。

それは、甘美なほどの華麗さを漂わせながら、絶滅の危機をも孕んだ過酷な歴史であった。

その人間よりも古い彼らの歴史は、血を護る闘いの歴史とも言えた。

ヴァンパイアには生まれながらに高貴な者が存在する。

高貴とは、その血の濃さがすべてであった。

ヴァンパイアの祖であるイヴから脈々と続く血の歴史。

イヴの血に近ければ近いほど、彼らは高貴な者として強いヴァンパイア・エナジーをもって生まれてきた。

その最もイヴに近しい血族が、ユーゴたち親子である。

彼らはその血の濃さを保つために、兄妹間、時には親子間で交配を繰り返してきた。

だが、そのあまりにも濃度が濃くなった血は、ヴァンパイアの女たちに不妊症をもたらした。

永遠の命をもっているヴァンパイアが激減していった理由。

それは、不妊、人間との闘いの所以である。

ヴァンパイアはその血を全て失ったり、心臓に傷がついたり、彼らにとって毒性の強い人間の血を致死量以上に飲まなければ、永遠に死ぬことはない。

だが、太古の昔から、何度となく人間と闘ってきたヴァンパイアたちは、その命をしばしば散らされ、また、制御の効かない下位のヴァンパイアに至っては、人間の血の甘さとその毒性によって、その命を散らすことも少なくはなかった。










< 6 / 41 >

この作品をシェア

pagetop